お知らせ

ボイトレ初心者にも見て欲しい!ボイストレーナーに必要なスキル

ボイストレーナー志望

ジウコ先生、ボイストレーナーに必要なものって何ですか?

僭越ながら、レッスン、通信講座で、たくさんのボイストレーナーの方にもレッスンをさせていただいております。

現役のトレーナーの方から、「トレーナーとしてのスキルを向上させるためにはジウコさんのアドバイスが」と、師事していただけるのは本当に光栄なことです。

そこで一番多いのが冒頭の質問。

僕が指導させていただいているトレーナーの方々は、みなさんかなりトレーナーとしてもレベルが高い方ばかり。
当然、指導スキルもご自身の発声スキルも、知識も経験もあります。

「これが一番大事!」と決めることはできないんですが、あえて無礼を承知でみなさんに足りないものを挙げるとするならば…

アイデア

です。

今回の記事では、トレーナーさんにも、トレーニー(現在レッスンを受けている生徒さん、これからボイトレを始めようと思っている方)にも参考にしていただけると思います。

是非最後までお読みください。

ジウコトモニタ(谷本恒治)
クリアボイスミュージックスクール代表
数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、
TVなどでも紹介される。
発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、
現在も全国各地から受講生が集まっている。

この記事で分かること
・ボイストレーナーとしての必要なスキル
・ボイトレを始める際のトレーナーの選び方

トレーナーに必要なスキル、“アイデア”とは?

机上の空論はク〇の役にも立たない!

机上の空論のイラスト

よく「〇〇メソッド」という言葉を見聞きすると思います。
フースラーメソッド、日本で言えば弓場さんのメソッドなどが有名ですよね。

もちろん、フースラーも弓場さんも、僕みたいな若造よりはるかに素晴らしいボイストレーナーです。知識も経験も、実績も圧倒的に上です。

ですが、(おそらく弓場さん自身も思ってらっしゃると思いますが)「メソッド」というのがレッスンにダイレクトに役立つことはほぼありません。

これからボイトレを始めようと思っている方は、「メソッド」でスクールを選ぶのはとてもナンセンスです。

methodとは、直訳すれば「方法」などと言う意味ですが、僕はニュアンス的に「考え方」と定義しています。

「考え方」でレッスンします!

って、なんかおかしいですよね?

つまり、「メソッド」とは、あくまでもガイドラインに過ぎません。

レッスンは生ものです。
「こういう場合はこうしましょう」なんてものは、ほとんど当てはまりません。
少なくとも僕は20年近くボイストレーナーを経験してきて、「メソッド通りにレッスンしたら上手くいった!」なんて記憶はありません。

メソッドにこだわった指導を続けるとどうなるか。

「こうなるはずだ」とエクササイズを続けて、「こう」ならない時に、そのエクササイズがその生徒さんには当てはまっていないのにやみくもに続ける状態。

結果、「できないのはこの生徒さんのせいだ」という答えにたどり着かざるを得ません。

例えは良くないですが、癌治療にも、手術、放射線、抗がん剤、あるいはそれらの組み合わせ、東洋医学では食事療法(個人的には疑問符)なんかもあります。
そのどれが当てはまるか、どの組み合わせが良いかは、その人によったり進行具合によったり、様々なはずです。

メソッドはアイデアを引き出すための道具

引き出しのイラスト

前述の通り、メソッドでレッスンをすることはありません。

レッスンでは上手くいかないこと、メソッドが通用しないことの方が多いです。

その時に、「次に何を提示するか」がアイデアです。

例えば、他の記事でもよくお話しますが、喉が上がる、ハイラリンクスの状態の生徒さんに、「喉を下げましょう」と「メソッド」を当てはめる。

これ、ほぼ100上手くいきません。

ところが「メソッド」を妄信してしまっていると、

Aという喉を下げるエクササイズを試した

喉が下がらなかった

ではBという喉を下げるエクササイズを試した

喉が下がらなかった

一生続けるんですか?
生徒さんはそのうち嫌気がさしてきます。

そして、上記の通り、トレーナーは「生徒さんが悪いんだ」となります。

同じように、生徒さんは「自分には向いてないんだ」と諦めてしまいます。

これが「メソッド」に頼る一番危険な部分です。

喉が上がるなら、「喉を上げることができない状態(体勢)にしてやる」、という逆の考えに持って行くのも一つです。
また、「喉が上がる原因(例えば呼気圧を作れず喉に負担がかかる、など)を見つけてそこを改善する」という考えも必要です。

「喉が上がるから下げましょう」は、「コケても手を付かないようにしましょう」というのと同じ。コケないように足元を見ながら歩く、あるいは、躓く原因となる小石を取り除く、というだけでいいのです。

これが「アイデア」です。

参考までに。

「アイデア」を引き出す力とは?

メソッド(方法)ではなく、ファクト(事実)

ファクトのイラスト

メソッドを否定する訳ではありません。
僕自身、常々「結局のところ、弓場さんだよな~」というところにたどり着くので。

ただ、レッスンで必要なのは、「こうなった時はこうする」という「Method(方法)」ではなく、「筋肉はこう付いている」「人間の体の作りはこういうものだ」という「Fact(事実)」です。

そこで、「筋肉がこう作用してしまっているから、こっちの筋肉を逆方向に動かせばいいよな」、「この筋肉に反応させないようにこういう動きを取り入れないとな」という風な「アイデア」が生まれます。

なので「筋肉の作用」という部分の膨大な知識、さらには前述の「コケたら手をつく」などといった「脊髄反射」についても知識が必要です。

「ヒトの体は本来こうなっている」という事実、「だけどヒトの体はそうではない反射行動を取ってしまう」という事実、そこから「それならば」と、アイデアを引き出してくるのです。

それに必要な「見る」「聞く」という力

見ざる聞かざる言わざるのイラスト

それには生徒さんの声をしっかりと聞いて、動きを目で捉えないといけません。

今、体の中で何が起こっているのか、口の中の形はどうか、を、声量、音色、などから判断しなければいけません。

もう一つの「目で捉える」というのは、当然喉頭の動きや顎の動き、といった部分もありますが、眉間にシワが寄る、少し拳を握る力が入る、といった、「本来発声に関係のない動き」も捉える必要があります。

そこから「あ、ここは体が反応していないな」とか「眉間にシワが寄るということは何かしら力みが生じているな」と判断し、そこからまたアイデアを生み出します。

という具合に、レッスンでは、「こういう場合はこうする」よりも、「そうならなかった時に何をするか」ということを考えなければいけない場面の方が圧倒的に多いのです。

これが「メソッド」が当てにならない理由です。

どこを見聞きするかの初歩的な部分はこちらです。

ボイストレーナーを選ぶ基準

ボイトレ初心者にとって超重要!

重要のイラスト

では最後にトレーニ—向けのお話を。

「どうやってボイストレーナーを選べばいいのか?」という部分。

ボイトレ初心者の方にとっては、ここはとても重要です。何度も読み返してください。
というのも、予備知識がないままボイトレ体験に行ってしまうと、判断基準がないので、デタラメなトレーナー(失礼ですがザラにいます)に当たっても、「そんなものなのかな…」と思ってしまいます。

なので、特に初心者の方、それから現在ボイトレを受けているけど「もう3年になるけど何も変わってないな…自分には向いてないのかな…」と思ってしまっている方は改めてチェックしてみてください。

同じエクササイズをひたすら繰り返させられる

計算ドリルをする男の子

心当たりある方もいるのでなないでしょうか?

ひたすら同じエクササイズを繰り返す、全然上手くできないけどそれでもまだまだ繰り返す、もうかれこれ一年続けているけどまだまだ同じエクササイズを繰り返す…

それ、トレーナーに「アイデア」がないだけかも。

僕もレッスンでひたすら同じエクササイズを繰り返すことはありますが、それは生徒さんに「これはめちゃくちゃ難しいけど、乗り越えないといけないところやから頑張ろう!」と先に断りを入れます。

そうでない場合、「こうなるはずのエクササイズが、そうならない」という時には、秒で違うエクササイズに切り替えます。

何故なら、何度も言いますが、できないエクササイズをひたすら繰り返すと、「自分には向いてないんだ」と生徒さんがめげてしまうからです。

何を質問しても「腹式呼吸」「声門閉鎖」にたどり着く

禅問答の禅

僕が10何年前から「開口一番腹式呼吸というトレーナーは信用するな」と言い続けて、最近ようやく減ってきましたね(それでもまだいるという…プロならググるくらいしろよ、と)

最近はやたらと「声門閉鎖」と聞くので、また10年言い続けないといけませんね(笑)

もちろん、ボイトレ初心者の方は、そもそも何を質問すればいいのか分からないと思います。

なので参考に。

質問①「なぜ喉が締まるんでしょうか?」
→「腹式呼吸ができていないからです」

質問②「どうすれば高い声が出るようになるんでしょうか?」
→「腹式呼吸を身に付けることです」

質問③「声が裏返るのは何故でしょう?」
→「声門閉鎖をトレーニングしましょう」

オールアウトです。

呼吸に関する関連記事です。

まとめ

まとめ、の文字

ボイストレーナーに大切なのは…
1.「メソッド」よりも「アイデア」
2.そのために膨大な「事実(知識)」「聞く、見る力」が必要
ボイトレ初心者がトレーナーを選ぶ基準は…
1.同じエクササイズを繰り返さない
2.どんな質問にもきちんと答えが返ってくる

トレーナーの方にもトレーニーの方にも、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ジウコトモニタ

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です