カラオケで数曲歌うと声が掠れてきたり喉が痛くなってきたり…
その時、正しく対処できていますか?
声が掠れてきたり喉が痛くなってきたりするのは、正しく発声ができていないからです。
でもプロになるワケでもないし、ボイストレーニングって大袈裟じゃね?
たとえ趣味だったとしても、ストレスなく趣味を楽しめた方がいいですよね?
確かに…
ボイストレーニングというものがプロのシンガーのためのものではなく、一般にも浸透して10数年が経ちました。
楽しく長く歌うために、せっかくの好きな歌を気持ちよく歌うためにも、声が掠れる、喉が痛くなる原因とその対処方法を是非知っておきましょう。
ジウコトモニタ(谷本恒治) クリアボイスミュージックスクール代表 数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、 TVなどでも紹介される。 発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、 現在も全国各地から受講生が集まっている。 |
この記事で分かること ・歌うと声が枯れる、喉が痛くなる原因 ・喉に負担のかけない歌い方のトレーニング方法 ・声が掠れてきた喉が痛くなった時の対処方法 |
結論
声が掠れる原因…声帯の摩擦が強すぎること
喉が痛くなる原因…喉頭の周りの筋肉の過緊張
それぞれによって練習方法、対処方法は違うので間違えると逆効果!
そもそもどうやって声が出るのか?
発声の仕組み
まず、「そもそもどうやって声が出るのか?」ということを理解しておきましょう。
ここすっ飛ばすと、ボイストレーニングを続けても「そもそも何をトレーニングしているのか」分からないまま続けることになります。
簡単に言うとこうです。
声が出る仕組み ・肺から送られた空気が声帯に当たって振動する(風になびくような感じ) ・その振動音がその上の空間で響いて(共鳴)して大きくなる ・舌・軟口蓋・顎・唇の動きの変化によって発音が変わり「声(言葉)」になる |
空気が声帯に当たって振動した音を「喉頭原音(こうとうげんおん)」と言います。
つまり、この段階では「声」ではありません。
「Bee~~」というブザー音のような音しかなっていないんです。
朝、「おはようございます」と言っても、声帯では「ビビビービビービー」としか鳴っていません。
その音がその上の空間「声道(せいどう)」で共鳴して、舌や顎やを動かして言葉になります。
またいずれ詳しく書きますが、喉頭“原音”に対して“倍音(ばいおん)”と呼ばれる成分が増え、舌や顎の動かし方によって倍音の増え方が変わり、発音が変わって聞こえるんですね。
試しに「あー」と言いながら舌や顎を動かしてみてください。
「あー」としか言ってなかったはずなのに様々な音色が聞こえてくるはずです。
つまり、声帯はほとんど何もしていない
この理屈が分かると、声帯そのものは(音を作る、発音を作るという面において)ほとんど関与していないことが分かります。
ただ「Bee~」と鳴っているだけです。
声を大きくするのも発音や音色を変えるのも、声帯の仕事ではないのです。
非線形の原音-フィルター理論、と言いまして、声道で共鳴した音が跳ね返って声帯の方に返っていくことで声帯振動に影響を与える、というのはあるんですが、それはまた別の機会に… 今のところ、「声帯そのものはどうやったって同じ音」くらいのざっくりイメージでおk |
声が枯れる原因と改善方法
声が枯れる原因
では何故声が枯れるのでしょう?
冒頭にも書きましたが、声帯の摩擦が強すぎることが原因です。
めちゃめちゃ強く拍手を数分続けてみましょう。
おそらく手が痒くなったりヒリヒリしてくると思います。
それが声帯で起こっているんですね。
じゃあ、なぜ摩擦が強くなるの?
無意識的に「声は喉(声帯)で作るもの」と思ってしまっていて、声帯「そのもの」に頑張らせようとするからです
前述の通り、声帯で鳴った音はただのブザー音のような音。
そして音量で言えば、蚊の飛ぶ音くらいのボリュームです。
それが声道で拡大される、つまり、声道がメガホンの役割をしてくれるんですね。
摩擦が強くなる時というのは、メガホンに頼らず、声帯だけで頑張って声を作ろうと、激しくぶつけすぎている状態と言えるでしょう。
声が枯れないようにするトレーニング方法
それでは具体的な改善トレーニングを解説していきましょう。
ボイストレーニングの考え方は「そうせざるを得ない」状況に持って行く、ということです。
声帯の摩擦が強すぎる=声帯で呼気を受け止めようとし過ぎている。
ということは、逆に「声帯で呼気を止めにくい発音で練習する」のが理想です。
さて、どんな発音が良いでしょう?
「S」の発音がいいんじゃない?
ご名答。
「S」の発音は、歯の裏側まで息を持ってくる発音です。
まず、声を出さずに「S——–」と息を吐いてみましょう。
次に、その息が途切れないように「S—–スススススS—-」と、「息→音→息→…」と繰り返してみましょう。
このトレーニングで、「声帯で呼気を止めすぎない」、「そもそも声道(この場合口腔)まで息を持ってこないと声にならないよね」という感覚を身に付けます。
ひたすら一週間やるだけで激変すると思います。
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喉が痛くなる原因と改善方法
喉が痛くなる原因
今度は少し違って、喉が痛くなる原因についてです。
これは、喉頭を引き上げる筋肉の過緊張による可能性が高いです。
歌っている時、特に高音域が続くと喉仏がグンと上がる感覚がある人もいるのでは
ないでしょうか?
以前も書きましたが、喉は上がるものです。無理に抗うことも喉が痛くなる原因になりかねません。
もちろん、上がりすぎてもよくありません。
喉頭が上がる原因は以下のようなことが考えられます。
喉頭が上がる原因 ・喉頭を上げる(声帯の位置も上がる)ことで声道の体積を小さくし、高音を出しやすくしようとする ・喉頭を上げることで声帯の閉鎖を促す |
これらについてもまた別記事で詳しく書きますが、つまりは高音発声の手助けをしようとしている状態と言えます。
喉が痛くならないようにするトレーニング方法
とはいえ、喉頭を引き上げる筋肉にずっと頑張らせているとやはり疲れてきます。
いわば、ずっと懸垂の状態をキープしているようなものです。
なので、「なるべく」この力に頼らないに越したことはありません。
(しつこく、「なるべく」です。無理に抗う必要はありません)
では、喉が上がりすぎないようにするにはどうすればいいでしょう?
ポイントは「共鳴ポイント」にあります。
なんとなく体感として、低い声=下の方で響く、高い声=上の方で響く、という感覚はあると思います。
低い声でしゃべると胸が響いているような気がするよね
これまた詳しくはまたいずれ…
なんし、低音=下の響き、高音=上の響き、この感覚にそれほど個人差はないと思います。
ということは、特に高音域が続く時には「上の響き」というのを意識すればよいかも知れません。
さて、どんな発音での練習が適しているでしょう?
ハミングだと鼻骨が響く感覚を得られやすいんじゃない?
さすがジウ研ゼミ会員。架空の人物やけど。。
「m-ー」というハミング。
発音の性質上、多少鼻腔の方(つまり上の方の空間)に息が流れる発音なので、ハミングを使って高音域をトレーニングすると、「喉頭を引き上げる力に頼らなくても響きを上に持って行けるよね」という感覚が身についてきます。
よく「鼻腔共鳴」と言われますが、実は鼻腔は共鳴しません。 意識し過ぎると鼻腔からの息漏れを誘発し、それを止めようと喉を締める癖がつく恐れもあります。 鼻腔に息が漏れないようなエクササイズと併せて練習することをオススメします。 |
まとめ
声が枯れる→ 原因…声帯の摩擦が強すぎること 改善…声帯で呼気が止まりにくい発音(Sなど)で練習 喉が痛くなる→ 原因…喉頭を引き上げる筋肉の過緊張 改善…上の響きを作りやすい発音(ハミングなど)で練習 |
ほぼほぼ改善できるエクササイズ例ではありますが、これらはほんの一例であり、発声の特徴も一人一人必ず違うので、できれば個別の指導を受けることをオススメします。