何やら情報が錯綜して、今さら「ボイトレって何するの?」って根本的なことが聞けなくなったよ…
確かに。より深い知識を売りにしたいのは分かるけど、いつの間にか知識ひけらかし合戦になっているからね。
案外誰も基本的なことには触れていないよね。腹式呼吸はいまだに間違えているし
今や、やれなんとかボイスだの、って、難しく説明することで「本格的ボイトレメソッドですよ」感をアピールしたがる風潮にありますからね。
もちろんそれらの知識は大事だし、マニアックな発声や理論を知りたい人がいるのも事実。
実際、ジウ研ゼミ会員さまの中にもマニアックな質問をくださる方も多いです。
でも一般的にはもっとシンプルに「どうやったら歌が上手くなるの?」ということを知りたいですよね?
今回は誰よりも知識をひけらかす(笑)発声のスペシャリストが、あえてシンプルに歌が上手くなるための基礎的な練習方法をご紹介いたします。
ジウコトモニタ(谷本恒治) クリアボイスミュージックスクール代表 数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、 TVなどでも紹介される。 発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、 現在も全国各地から受講生が集まっている。 |
この記事で分かること
ボイトレ初心者ができる簡単なボイトレメニュー
中級~上級者になるほど疎かにしがちな大事な部分
初心者向け超簡単ボイトレメニュー5選
一つのエクササイズにつき1~2分なので、全部やっても10分程度、毎日少しずつヒマを見つけてやってね
EX.1 ブレストレーニング
文字にすると何やらカッコいいですが、内容はいたってシンプル。
まず、肋骨に手を当てて、肋骨を外側に広げるつもりで息を吸います。
その状態をキープしたまま(肋骨が“なるべく”萎まないように)、「ハッハッハッ」と発声します。
この「ハッ」は、短ければ短いほどいいです。短く小刻みに発声し、体がピクピク動かないよに気を付けましょう。
笑うような感じかな?
その通り!
EX.2 表情筋トレーニング
表情筋は発声、特に母音の調節にとても重要な役割を果たします。しっかり動かしておきましょう。
まず歯を閉じます(食いしばらずにふわっと)。
その状態で歯を閉じたまま、唇だけを動かして「ウオアエイ、ウオアエイ」と繰り返します。
特に「ア」や「エ」では頬の筋肉をしっかり引き上げ、「イ」では思いっきり横に引っ張ります。「ウ」「オ」は逆に横を縮める力を意識します(歌唱時は特にこの縮める力が重要になります)
ほっぺたがプルプルしてきたわ…
それはしっかりと動かせている証拠なのでよいことだよ
EX.3 ベロトレーニング
発音を作るのは舌、軟口蓋、顎、唇です。
その中でもとても大きな筋肉が舌。なので音色や滑舌に大きく影響を与えます。
特に日本語はそれほど顎や舌を動かさない言語なので、日頃から継続的にトレーニングしましょう。
ここでは数パターン行います。
1.クククク
軽くフーーーと息を吐きます。真っすぐ息を吐けていることが確認できたらそこに「kkkk」と子音のみ(息の音のみ)入れます(フーーという息を舌で区切っていく感じ)
それが上手くいったらそこに「クククク…」と声を入れてみます。
声を入れると上手くいかない場合は息だけでも十分効果があります。
「クックッ」と小さいッが入ったり、「クゥ」と母音が強くなるのはNG
2.ララララ
ここから難易度は上がりますが…
「ラ」の発音はできるだけ舌の先を上顎にかすめる程度にします。
上手くいかない人は「ア」の口の形で「ロロロロ」と言おうとしてみてください。
3.ラナラナ
さらに難易度を上げて、今度は「ラ」と「ナ」を繰り返し言います。
同じく舌先の細かい動きがポイントです。これはメトロノームなどでリズムに合わせて行うとより効果的です。
早口言葉の練習ではないので、確実に言えるスピードでOKです。
「ララララ」が「ラルラル」になっていないか、「ラナラナ」がいつのまにか「奈良奈良」になっていないか気を付けて
EX.4顎トレーニング
次に顎のトレーニングです。舌と同様、歌唱時に顎に力が入ってしまっている人はかなり多いです。
顎と舌をリラックスさせるだけで歌は劇的に変わります。
下あごに人差し指を添えます。その状態で口を縦に「オ」と開けてみましょう。
人差し指が下後方に動けばOKです。
それができたら鏡を見ながら「オウオウオウ」と顎を開けたり閉じたりします。
指を顎で押し返す力が働いたらNG
EX.5 首トレーニング
さて、ゴールはもうすぐそこです。
今度は首です。特に首の後ろに力が入って、顎が前に出る人、多いんじゃあないでしょうか?
よく、「顎を引いて」と言う人がいますが、それは間違い。首を後ろに引かないといけません。
これは少々荒療治ですが。
ガッツリ上を向きます。後頭部を後方に垂らすくらいに上を向きましょう。
その状態で「バッ」と破裂音を発声します。
首に力が入る人は首を戻したくなると思います。
これは息の使い方に問題があって、上手く呼気を口腔内に送れないので、首の力で掻き出そうとしているんですね。
なのでその力を不自由にして、しっかり口腔内の空気に圧をかけるトレーニングです。
破裂音のエクササイズの基本は「短く鋭く」です
エクササイズの目的と注意点
目的
ボイストレーニングは目的によってやり方や難易度も様々です。
僕のレッスンでも誰一人として同じメニューを指導することはありません。
そのときどきで完全なオリジナルメニューでトレーニングを行います。
今回ご紹介したメニューは「声を出しにくくしている原因を取り除く」「声を出しやすくする体の使い方を覚える」といった目的です。決して「音域を拡げる」「地声を強化する」といったものではありません。
なので、スケール(音階)は無理のない範囲で、極端な話、全部同じ音程でおこなっても効果はあります。
例えば上を向いて「バッ」と同じ音程で繰り返し、安定してきたら少し音程を上げてみる、といった具合でOKです。
特に苦手なものだけ行ったり、苦手な音域で行ったりと、あなただけのオリジナルメニューにアレンジして行ってください。
注意点
気を付けないといけないのは「目的を見失わないこと」です。
ボイトレに限らず、勉強でもなんでも、繰り返しているうちに、繰り返すことそのものが目的になってしまうことがあります。
確かに、目的を疎かにすると「ただこなしているだけ」になってしまうことがあるかも…
あくまでも自分はどうなりたいのか、そのために何が必要なのかを常に明確にしておいてください。
(今回ご紹介したエクササイズは、ご自身の弱点をあぶり出せるというメリットもあります)
まとめ
呼吸筋・表情筋・舌・顎・首
これらを自在に使えるようになればおk
繰り返しになりますが、これらのエクササイズは「声を出しやすくする」という目的のものです。
ここからさらに強化したい、音域を拡げたい、あるいはこれらの練習も自分では上手くできているかどうか分からない、という方は、是非お気軽に通信講座へお申込みください。
ボイトレ通信講座ジウ研ゼミでは、トレーナーの発声のデモやそのトレーニングのやり方、コツを紹介、さらに他の会員さまのご質問ご相談の実例と改善方法の紹介を行っております。
また、発声や歌唱の音声や映像でのご質問ご相談、トレーナーからの直接指導は回数無制限です。
迷ったら行っとけ、です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジウコトモニタ