漠然と歌が上手くなりたいと思ってるけど、何を練習すればよいのやら…
いくつかボイトレ教室に行ってみたけど、あまり効果を感じなかったわ…
こういう方、結構いらっしゃるかと思います。
実際、僕もいくつもボイトレ教室を渡り歩いたもんです
そこで、皆さんが気になっているところ、ボイトレに行ったら本当に歌が上手くなるのか、ボイトレってどんなことをするところなのか、どんなボイトレ教室を選べばいいのか、を詳しく解説します。
ボイストレーニングの基本的な考え方
一口に「ボイトレ」「ボイトレ」と言いますが、僕が生徒さんの声や色んなボイストレーナーさんの声を聞いていて感じるのが、「ボイストレーニング教室」と謳いながら、「ボイス」を「トレーニング」するレッスンがほとんどおこなわれていない、ということ。
「ここはこう歌って…」というような、実態はカラオケ教室であることが多いようです。
もちろん、それが悪いことではありません。「カラオケ教室」と謳っているならね…
「広東料理」と謳っていて入店すると、内容は四川料理だった、というのと同じです。
例えそれがとてつもなく美味しい料理だとしても、「違うやん!」となります。
クリアボイスミュージックスクールでは、「ボイス」を「トレーニング」することを主な目的とした「ボイストレーニング教室」です。
とはいえ、「ボイス」をよくすることそのものが目的ではありません。
それを歌声や話し声に活かせてこそ、です。しっかり歌唱トレーニングもおこなっていきます。あくまでも「ボイスをトレーニングする」ことは手段です。
ボイスの何をトレーニングするのか
そういえばこれまでのボイトレ教室で、「ボイストレーニング」はほとんどなかったわ…
じゃあ、具体的にどんなことをするの?
簡単にいうと、必要な筋肉を鍛え、不必要な筋肉を弛緩する、というだけです
内喉頭筋
「必要な筋肉」というのが、内喉頭筋(ないこうとうきん)と呼ばれる筋肉たちです。
早い話、「発声時に活躍する筋肉たち」ですね。
内喉頭筋には以下のような筋肉があります。
- 甲状披裂筋(外側)
声帯を弛緩 - 声帯筋(内側甲状披裂筋)
声帯に張り - 輪状甲状筋
声帯の伸展(音程の変化) - 輪状披裂筋(後・外側)
声帯の開閉 - 披裂筋(横・斜・披裂喉頭蓋筋)
声帯の接近
一つ一つ解説すると膨大な量になるので割愛…
これらを鍛えることで安定した芯のある声を作ることができます。
外喉頭筋
「不必要」というと少し語弊があるのですが、喉頭を支える筋肉たちです。
喉頭は首の中で宙づりになっています(本来骨と骨は関節で繋がっていますが、喉頭は筋肉で吊っている状態)。
これらは嚥下(ゴクンという動き)にとても重要なんですが、時には発声の邪魔をしてしまいます。
外喉頭筋には以下のような筋肉があります。
- 舌骨上筋群(顎舌骨筋・顎二腹筋・茎突舌骨筋)
ハイラリンクスを引き起こす - 茎突咽頭筋
喉頭の埋まり込みを引き起こす - 甲状舌骨筋
ハイラリンクスを引き起こす - 肩甲舌骨筋
喉頭の埋まり込みを引き起こす - 咽頭収縮筋群(上・中・下・輪状咽頭筋)
咽頭腔を狭める
これらは発声時に比較的緊張しやすい部分で、特に舌骨上筋群、肩甲舌骨筋は力が入りやすいので十分な弛緩エクササイズが必要です。
一方、外喉頭筋の中でも発声を助ける役割をする筋肉もあります。
- オトガイ舌骨筋
咽頭腔の拡張 - 胸骨甲状筋・胸骨舌骨筋
喉頭を引き下げる
ただし、内喉頭筋も外喉頭筋も非常に繊細な筋肉なので、正しい知識と判断力が必要になります。
呼吸筋・呼吸補助筋
そして忘れてはいけないのが呼吸筋です。
そもそもしっかりと息を使えていなければ内喉頭筋も外喉頭筋もありません。
ただ、ボイストレーニングの知識で最も誤解されているのが腹式呼吸トレーニング、喉頭を下げるトレーニングです。
大前提として、ヒトは日常の自然呼吸で8割腹式呼吸、2割胸式呼吸で呼吸をしているということを覚えておいてください。
開口一番「腹式呼吸を練習しましょう!」というボイトレ教室です。
鍛えるべき呼吸筋・呼吸補助筋は以下。
- 外肋間筋
肋骨を広げることで肺に空気を取り込む - 脊柱起立筋群・広背筋
取り込んだ空気を支える - 腹斜筋
取り込んだ空気を支える - 腹直筋
強い呼気を作る
一方、力みが生じるとよくない呼吸補助筋が胸鎖乳突筋です。首の両サイドに「人」の文字に似た形で筋が浮き出ている人は要注意。
ところで何故「胸式呼吸はダメ」と言われるの?
「胸式呼吸は喉歌いになる」とか意味フな教えもありますが、胸式呼吸も使います。てか、使えるとこ全部使ってしっかり呼気を使えた方がよくね?
何故「胸式呼吸」とされてきたのか、(この令和の時代にまだそんなこと言う人が存在するのかは分かりませんが…)それが先述の胸鎖乳突筋が原因です。
それについてはまた長くなるのでお暇な時に動画での解説をご覧ください。
結論
必要な筋肉(内喉頭筋、一部外喉頭筋、呼吸筋、一部呼吸補助筋)を鍛え、不必要な筋肉(一部外喉頭筋、一部呼吸補助筋)を弛緩する
もちろん、これらの筋肉は目視できない部分です(外喉頭筋や呼吸筋は一部目視できますが)。
ボイストレーナーはこれらの動きを音色(どのような声を出しているか)で判断し、それらを適切な方向へ導くためにどのようなエクササイズが最適かを判断しなければいけません。
「ここはこんな風に歌って…」
「いやいや、力が入ってその“こんな風に”ができねんだよ!」
ってレッスンで感じたりしていませんか?
そろそろ本格的に「ボイス」の「トレーニング」をしてみませんか?