2022.06.02trainer's column
歌が上手くなるか否か、ボイストレーニングの分かれ道
ジウコトモニタ(谷本恒治) クリアボイスミュージックスクール代表 数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、 TVなどでも紹介される。 発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、 現在も全国各地から受講生が集まっている。 |
こんにちはこんばんは。
大阪ボイトレスクール、クリアボイスミュージックスクールのジウコトモニタです。
これまで多数のプロのシンガーさんを含め、16年間で1万人以上のボイストレーニングを担当してきました。
そんな長年のいぶし銀の知識と経験に基づいたボイトレに関する様々なお話をしていく“ジウコラム”、よっぽどヒマですることがなさすぎてどうしようもない時にお読みください。
今回は少々辛辣なテーマ、
歌が上手くならない人の共通点
です。
「いくら練習しても上手くならない…」
「ボイトレに通って数年になるけど全然効果が感じられない…」
そんなお悩みを抱える方も多いのでは?
歌が上手くならない原因、考えたことありますか?
もしかすると実はなんてことない所に原因があるかも。
それでは考察していきましょう。
1.「上手くならないのはボイトレの先生が悪い!」それ、本当?
僕の基本的な理念はこうです。
歌が上手くなるのは生徒さんの努力の賜物、上手くならなかったらトレーナーの責任
ボイトレスクール選びで失敗しないために↓
とはいえ、これが100%当てはまるとも思っていません。
でないと、林修先生の授業を受ければ全員が東大に行けるということになります。
他の予備校や講師を比較して、相対的に灯台合格率が高いということはあるかも分かりません。
でも林先生の生徒さんの中でも、東大に合格する人もいればそうでない人、なかにはFラン大学でギリギリ、という人もいるかも分かりません。
それって100%林先生の責任と言えるのでしょうか?
ということは、少なからず「受ける側の原因」もあると言えるでしょう。
それではどんな原因があるのでしょう?
それは、ほぼもれなく共通した原因です。
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2.きちんと聞けていますか?①
原因はたったこれだけです。
聞く力
歌が上手くなる人は、ちゃんと「聞く」ことができます。
僕がよく見る、イムラン先生の動画です。
歌が上手くなる人はイムラン先生の声を聞いて、
「ゥワドゥユドゥー」
と捉えます。
一方、歌が上手くならない人は、
「ホワットドゥーユードゥー」
と捉えます。
これは何が起こっているかというと、歌が上手くならない人は漏れなく、
自分の引き出しの中にあるものに勝手に変換してしまうのです。
では、これは何と発音するでしょう?
about
アバウト
と発音したのではないでしょうか?
残念ですが、こう発音した人は歌が上手くならないかも…
この「about」の「a」の発音記号は、
【ǝ】
です。
この母音は「mix vowels」、つまり、「ミックスになりやすい母音」です。
ボイストレーニングでよく使われるツールに「mum」というのがあります。
この母音が【ǝ】です。
言い換えれば、
発音の特性を活かすことでミックスに入りやすくする
という目的がこの「mum」にあるのです。
この母音は日本語の「あいうえお」のどれでもありません。
だけど聞けていない人は、きちんと聞こうとせずに勝手に自分が持っている日本語に変換しているんですね。
「ジスイズアペン」
と同じことです。
「マンマンマンマン…」
と言い続けているアナタ、
一生ミックスにはたどり着けないかも。
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3.きちんと聞けていますか?②
もう一つ肝心なことがあります。
それは、
自分の声を聞くこと
です。
イムラン先生の「What do you do?」を聞いて発音は理解できました。
今度は自分で発音してみて、「イムラン先生と同じように言えているか」「イムラン先生と何が違うのか」、自分の声を聞く力というのが必要になります。
特に先ほどの「mum」など、普段馴染みのない発音や、(特に高音で)発音が難しくなるものがあります。
gやbなどの子音は、発音する瞬間に声帯が分厚く合わさろうとする動きをします。
なので音程が上がっていくにつれて発音し辛くなっていきます。
(音程を上げる際、声帯を薄く引き伸ばそうとする動きをするため)
すると人間は無意識的に楽な方へ逃げようとします。
gやbが言いにくくなってくると、KやPに置き換えてしまったり、あるいは母音でも、uやoなど口をすぼめる力が必要な発音をしている時に、気を抜くと口元が緩んできたり。
そこで、「高さが変わっても同じように発音できているか」を自分でしっかり聞きながらトレーニングする必要があります。
モノマネタレントの人たちって、例外なくみなさん歌が上手いですよね?
モノマネをする=本家の特徴をしっかり捉える→自分でそれが再現できているかチェックする
この一連の動作ができているためです。
歌が上手くなるのにセンスや才能は必要ありません。
聞けるかどうか
実はこれだけなのです。
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