2020.11.03腹式呼吸トレーニング
腹式呼吸の正しいやり方とメリットを科学的に徹底解剖!
ジウコトモニタ(谷本恒治) クリアボイスミュージックスクール代表 数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、 TVなどでも紹介される。 発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、 現在も全国各地から受講生が集まっている。 |
腹式呼吸ってどうやるの?
腹式呼吸のメリットって?
なぜ腹式呼吸が歌には必要なの?
これだけ腹式呼吸という言葉が世に広まっていながら、実は正しいやり方がイマイチ知られていません。
今回は腹式呼吸を間違えて使って発声が悪化しないために、科学的根拠に基づいて徹底解剖していきましょう。
この記事で分かること
・正しい腹式呼吸のやり方
・腹式呼吸が必要な理由
・発声への活かし方
呼吸の仕組み
呼吸筋
これがまた実は意外と知られていないんですが、
呼吸筋というのは吸気(吸う時)にしか使えません
外肋間筋(がいろっかんきん)
肋骨の間の筋肉。ここが収縮することで肋骨を外側に開き、間接的に肺を横に広げて空気を取り込む横隔膜(おうかくまく)
肺とその下の臓器を隔てる薄い筋肉。ここが収縮することで肺を下に引っ張り空気を取り込む
当然 、筋肉は自分で収縮することしかできません。(肘を伸ばすのは上腕三頭筋が収縮することで上腕二頭筋を間接的に伸ばしています)
では、息を吐く時はどうしているのか?
これらの筋肉が緩むと勝手に肺は元に戻る、つまり息を吐きます。
呼吸補助筋
この呼吸を、文字通り補助する筋肉が“呼吸補助筋”と呼ばれる筋肉です。
あまりに多くあるので、ここでは比較的歌の中で活躍する筋肉をご紹介します。
脊柱起立筋群
背骨の横に棒状にある太い筋肉。文字通り起立時に必要です。広背筋
脊柱起立筋群の横(背中の下の方)にある板状の筋肉。重い物を持ち上げたりする時に活躍します。
腹式呼吸のポイントは“しっかり吸ってキープ”です。
こちらをご参照ください。
息を吸う=体が膨らむ、その状態をキープするために、この脊柱起立筋群、広背筋を使います。
発声にどう活かすのか?
声帯振動の原理
もちろん、ただ腹式呼吸ができたからといって歌が上手くなる訳ではありません。
その力を「適切に」声に使えるかどうかが重要です。
これにはベルヌーイの定理というものが関係しています。
細かく言うと音域によるところもあるのですが、簡単に言うと、発声に重要なのは息の「量」ではなく「圧(スピード)」ということです。
ベルヌーイの定理で僕が好きな動画があるのでお借りしておきます。
腹式呼吸を正しく使うおすすめ練習方法
しっかり吸ってキープ、ベルヌーイの定理を使って(といってもこの仕組みを意識して声を出す訳ではありませんが)発声するのにおすすめなのはスタッカート練習です。
スタッカートとは、音を短く切る、ということです。
比較的呼気を感じやすいハ行で「ハッ、ハッ、ハッ、」と短く区切りながら発声するのが良い練習です。
動画でも解説していますが、お腹を動かさないことがポイントです。
腹式呼吸を使うメリット
腹式呼吸のメリット
まず一番大きなメリットは、よりたくさんの空気を取り込めるということ。
そのことでより声に「圧」をかけられます。
当然たくさん空気を体にためている方が、より長いフレーズを力強く歌い続けることができます。
腹式呼吸のデメリット
正直、正しく使えればデメリットはゼロですが、あるとすれば、言葉そのものに捉われ過ぎてしまうこと。
むやみにお腹に力を入れてしまったり、力を入れることがただの力みになっていたり、という状態です。
そうなってしまう人は、歌うためにまず腹式呼吸、ではなくて、発声・歌唱のより質を高めるための一つの手段として捉えるべきかも分かりませんね。
まとめ
それではまとめておきましょう。
腹式呼吸の正しい理解
・呼吸筋をフル活用
・呼吸補助筋を使ってキープ
・効率よく声帯振動に活かさないと意味がない
・正しく使えばメリットしかない
正しい理解の元に、より快適なカラオケライフを。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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