2025.05.18ボイストレーナー論
生徒さんが辞める3つの決定的な理由

「生徒さんがなかなか増えない…」
「入ってもすぐに辞めていってしまう…」
「なかなか生徒さんのやる気を持続させるのが難しい…」
現役のボイストレーナーの方からよくいただくご質問です。
僕も同じでした。
生徒さんが入っては辞め、入っては辞め、入らず辞め、…生徒さんの数は減る一方。
これ、誰しもが通る道なんですよね。
最初からバンバン生徒さんが爆増して、一躍人気のボイストレーナーになる、なんてありえない話です。
が、僕の苦い経験を踏まえ、同じ道を辿らなければ、少なくとも僕よりはスムーズに人気ボイストレーナーへと成長していってもらえるはずです。
今回は生徒さんが辞める3つの決定的な理由を詳しく掘り下げていきます。
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ジウコトモニタ(谷本恒治) クリアボイスミュージックスクール代表 数多くのプロミュージシャンのボイストレーニングを担当し、 TVなどでも紹介される。 発声のメカニズムなど確かな知識に基づいた的確な指導で、 現在も全国各地から受講生が集まっている。近年はボイストレーナーの 育成にも力を入れている。 |
この記事で分かること
・生徒さんのモチベーションの維持
・「辞めない」レッスンの作り方
・レッスンの際の生徒さんとのコミュニケーション
成長を感じられない
できることとできないこととの配分
生徒さんが辞める最も大きな理由は成長が感じられないことです。
僕のところにレッスンに来られる方の約6割くらいの方が、“以前違うボイトレ教室に通っていたけど、成果を感じられなかった”という方です。
最初に「以前の教室ではどんなことを教わっていた?」と聞くんですが、稀にトンチンカンなことを教えている教室もありますが、大抵は「うーん、間違ってはいないな」と感じるメソッド、エクササイズばかりです。
じゃあ、メソッドは合っているのに生徒さんが成長しない、それはその生徒さんに問題があるのか?
もちろんそうではありません。
何がダメなのか?
そのエクササイズは正しいけど、その生徒さんにとっては難易度が高かった、あるいは、その生徒さんにはハマりにくかった、というだけです。
できないエクササイズをひたすら繰り返させられただ、生徒さんはどうなるでしょう?
「この人の教え方、合っているのかな?」
「自分にボイトレは向いてないんだ」
このどちらかにしかなりません。
そして後者になってしまっては絶対にいけません。
私たちボイストレーナーは、生徒さんに歌の楽しさを伝えるのが仕事です。生徒さんに歌うことを諦めさせることは絶対にあってはいけません。
その生徒さんの現状、発声の癖、性格などもしっかり考慮して、できそうないことを見つけてあげることも重要です。
目標設定をしっかりと
もう一つは、生徒さん自身がどこに向かっているのか不透明になることです。
「本当にこれでいいのかな…」
「何か発声が変わった気はするけど、正しい方向に変わったのかな…」
こう感じている生徒さんはとても多いです。
僕も「“一旦は”ここを目指そう。最終的にこの音色で歌うかどうかはさておき」という言い方をしたりすることもあります。
生徒さんとしっかりディスカッションをし、短期的な目標(今月はここまで頑張ろう、など)、中長期的な目標(最終的にはここを目指そう、など)を常に明確にすることで、生徒さんのやる気を維持させることが重要です。
当然この“ディスカッション”というのは、生徒さんの趣味が変わったり、トレーナー側のスキルも上がったり、成長過程で新しい発見をすることも多々あるので、頻繁におこなう必要があります。
エクササイズごとの声がけ
これもまた非常に多く聞かれるのが、「以前の教室ではただ淡々とエクササイズが進んでいって、それが合っているのか間違っているのかの指摘もないままレッスンが終わっていった」というものです。
結論、何も言われないままエクササイズが進んでいくのは、トレーナー自身が“それがどういう効果をもたらしているのか分かっていない”からです。トレーナーさんは勉強の過程かも分かりませんが、トレーニーの方は時間の無駄なので違う教室を探すことをお勧めします。
なので、レッスンで大事になってくるのは“声がけ”です。
ちなみに僕の声がけの方法です。あくまでもご参考に。
僕は生徒さんの声から、“意図”を聞くようにしています。
エクササイズの意図、自分の現状、目標を把握しそのエクササイズに挑んでもらいます。
その時に、“上手くいった”“上手くいかなかった”ではなく、“やろうとした”意図が声から感じられるかどうかです。
例え上手く行かなかったとしても、“意図”が感じられたり、生徒さん自身が「あ、今の違ったな…」と感じながらやれている場合は、「オッケー!!!」と絶叫します(笑)
また、レッスンの前後にも「前回ここがよかったから引き続き頑張ろう」とか、「今日はここがよかったからその感覚を次回までキープできるように頑張ろうな」といった感じで、常に進捗を伝えてあげるようにします。
生徒さんは素人なので、正しい正しくないの判断はなかなか自分ではできません。
常に声をかけてあげることで「この方向で間違ってないんだ」という安心感を与えてあげられるようにしましょう。
価値を見出せない
モチベーションの維持
モチベーションとは、何かを継続、あるいは目標に向かって進んでいくための原動力です。
例えばスポーツ選手であれば、全くこの先に試合が決まるメドも立たない状態であれば、練習にも身が入らないでしょう。
ボイストレーニングもある種孤独で地道な作業です。
何か「このために頑張っている」というものがあるだけで、少々しんどくて辛い練習でも前向きに頑張ることができます。
発表会などがいい例です。
決められた日に人前で歌わないといけない…このプレッシャー(よい意味)は、生徒さんのトレーニングにより熱が入ります。
僕のスクールでも、やはり発表会に毎回出る人とそうでない人、どうしても成長のスピードに差が出ます。
もちろん、強制することで逆にやる気を削いでしまう場合もあります。
生徒さんのボイトレを始めた動機やトレーナーとの関係などを考慮して目標設定をしてあげましょう。
自主練に積極性を持たせる
例えば月に4回(週に1回)ボイトレに通っている人がいるとします。
果たして一ヵ月30日×24時間=720時間のうちのたかだか4時間練習しただけで、発声が上達するでしょうか?
ボイトレはいかにレッスンで教わったことを自主練で反復できるかで差が出ます。
ですが大抵の生徒さんは「自主練で何をすればいいのか分からない」と言います。
これは僕の持論ですが、生徒さんが自主練をしないのはトレーナーの責任です。
レッスンで自分の課題、成長ポイントが明確になり、手ごたえを感じられれば、「もっと頑張りたい!」という気持ちが芽生えてくるはずです。
当然、がぜんやる気が出ても、どんなことをすればいいのか分からなければやりようがありません。
レッスン終了間際には
1.今日の成果
2.今後の課題
3.自主練で特にやるべきエクササイズ
4.そのエクササイズの注意点
を明確に伝えてあげられるようにしましょう。
レッスンの“価値”を高める
誰しもこんな経験ないでしょうか?
「今度飲みに行こうよ」
「いや、お金がないからやめておくよ…」
「時間が…」
と断られること。
「お金がないから」と断ったその人は、高級な車に乗って立派なマンションに住んでいます。
また、「お金がないから」と断ったその人は、夜は1時間半身浴し、寝る前はスマホのゲームに夢中です。
つまり、“あなたと飲みに行くほどの”時間やお金はない、という意味です。
「お金がないからボイトレ辞めます」
これは“あなたのレッスンにそこまで価値を見出せない”という意味です。
スキルが上達することはもちろん、歌えなかった歌が歌えるようになってきた喜び、声が枯れにくくなった喜び、知人から声を褒められるようになった、そのことで自分に自信がついてきた、呼吸が深くなったおかげで体調を崩さなくなった、など、ボイストレーニングの付加価値は無限です。
それを一緒に喜んであげられること、「この先もっと素敵な経験が待っているんだよ」という未来の提示ができることで、生徒さんは長く続けてくれるようになります。
先生を尊敬できない
常に“シャン”としている
以前の記事に似た内容を書きましたが、例えばレッスンでの指摘も的確、発声のデモも素晴らしい、でも髪の毛がボサボサ、フケだらけ、めちゃくちゃ体臭がキツイ、服がボロボロ(まずいませんが…)、となれば、なかなか「この人についていこう!」とは思えないですよね?
ボイストレーナーは人気商売なところもあります。
トレーナーに限らずですが、お店を選ぶ基準、例えばご飯屋さんであれば、「おいしいから」だけでお店は選びません。
話しやすい雰囲気(僕に最も欠けていますが(笑))、清潔感、陽キャ(これも僕には超難問…)、そして偉そうに言うからにはめちゃくちゃ自分も努力している。
生徒さんは「理論がしっかりした先生」より「尊敬できる先生」についていきたいものです。
全力で応援してくれる
僕は「ボイトレレッスンは二人三脚」という考えです。
与える→受ける、ではなく、生徒さんのリアクションを見ながら、レッスンカリキュラム、レッスンスタイルを二人でカスタマイズしていくものです。
そのためには“生徒さんの悩み、苦しみ”を理解し、共有することが大事です。
一緒に悩み苦しみ、喜び、感情を分かち合い、全力でサポートすることで、仮に上達を感じられなくても、「こんなに親身に自分のことを考えてくれている」と感じられれば、「もう少し頑張ってみよう」と思ってもらえるはずです。
先生と生徒は、“役割”が違うだけで、先生が上とか生徒さんが下とかいうものではありません。
自分の立場に驕ることなく、謙虚に、相手は藁をもすがる思いでお金と時間を使ってきてくれているということを忘れずに接するようにしましょう。
まとめ
生徒さんに長続きしてもらうには…
1.課題を明確に、できることできないことの見極めが大事
2.発声がよくなること以外の“価値”を提示してあげる
3.トレーナーは生徒さんの一番のファンであること
僕はよく「愛情・責任・自覚・情熱」と若いトレーナーにも教えます。
生徒さんに対する愛情、声を預かる責任、プロである自覚、誰よりも努力する情熱。
トレーナーにとって最低限必要なエッセンスです。
もちろん、情熱だけで人の声をよくすることはできません。
そこに確かな知識、聞く力、といった、“ノウハウ”、“スキル”があって初めて一流のボイストレーナーです。
あなたの心の奥にくすぶった情熱を爆発させてみませんか?
残りの“ノウハウ”、“スキル”は全て僕が用意します。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
是非他の記事もご覧ください。
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クリアボイスミュージックスクール
講師 ジウコトモニタ
☎ フリーダイヤル 0120-103-326
(受付時間13:00~21:00、レッスン中は出られない場合もございます。ご了承ください)
✉ clearvoicemusic@gmail.com
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