2019.10.14レッスン
通らない声を強くするボイトレの具体的な内容がコレ!【レッスンブログ】
こんにちは。
大阪梅田のボイトレ・ボーカルレッスン、クリアボイスミュージックスクールの谷本恒治ことジウコトモニタです。
今日の(後日になってますが)レッスンレポート。
今回は「声が小さい」とか、「声が通らない」という女性にとって、参考になるのでは…
では。
目次
- ○ レッスンを始めるにあたって
- ○ 最初のレッスンの課題
- ・トレーニングには長期的なものと短期的なものがある
- ・具体的に言うと?
- ○ で、やっていった練習法
- ・息を鍛える
- ・声帯を鍛える
- ○ そして歌う曲が決定…だが…
- ・低音発声に必要なポイントは…
- ・ここで少し改善ポイントも必要になる
- ○ で、やっていった練習法
- ・コツは「声を出そうとしない」
- ・実は高音にも活きてきた
- ○ 何より一番変わったのは…
レッスンを始めるにあたって
今回の標的(笑)は、守口市在住のNさん。
なんと、体験レッスンに来たのが一年前!
一年ぶりの来校!
ね?スクールの謳い文句にある通り、一年ぶりとか二年ぶりとか、全然アリ。
今回、急遽人前で歌うことになったらしく、それまでに声を出しておこうと久々のレッスンを決意。一年経ってもウチを選んでくれてありがとうね。
最初のレッスンの課題
僕から見たNさんの課題は、まず「歌うぞ!」っていうテンションだった。
元々、そんなにカラオケとか頻繁にいくような感じでもなかったみたいだから、「歌う(=話し声よりは高いし大きい声を使う)」という感覚に慣れていなかった。
まずそこから作りたかったワケだす。
さて、どんな練習していこうか。
トレーニングには長期的なものと短期的なものがある
結局、全部必要なんだけど、目的、目標には色々ある。
①じっくりと自分のウィークポイントを克服していきたい
②とりあえず限られた時間でいけるところまでいきたい
今回のNさんの場合は間違いなく②。
例えば、1ヵ月後に歌わないといけないという状況で、「3ヶ月かけて改善していきましょう」というレッスンをするの?という話。
もちろん、そのトレーニングが3ヶ月のうちの最初の1ヶ月で特に変化することもあるかも知れない。けど、その逆で3ヶ月目でようやくコツを掴んでくるかも分からない。それは個人差がある所なので、まずは短期間で帰られるところを変えたい、と思った次第。
具体的に言うと?
Nさんに限らず、まずウチでは声を聞かせていただいた時に、①強化するポイント、②改善するポイント、を見つける。
①は、「ここをもっといいように使ってやる」という感じ、②は、「ここを直したらもっとよくなる」という感じ。
で、場合によっては「②に難があるけど、あえてそれを残した方が①は作りやすい」ということもある。
(その逆で①がいい感じなので、②を改善してやったらもっとよくなる、ということも当然ある)
Nさんの場合は②が「舌が上がる」こと。これによって共鳴腔が狭くなり、声が細くなりやすい。
ただ、これを一ヶ月で劇的に変化するかというと、個人差があるところ。
とりあえずの結果が欲しい段階で「個人差に賭けてみよう」という練習スタイルはあまりに愚か。と、個人的には思う。。
で、やっていった練習法
なので、②を使って①を行う、という、「毒を持って毒を制す」じゃないけど(ハイラリンクス自体が毒でもないし…)、「一旦そこはスルーして」というやり方で攻めてみる。共鳴腔は狭くなるけど、その分高音はひとまずは作りやすい(これは後述)
特に女の子にはこの方法が当てはまることが多いかな。
男の子は力が強いので、場合によっては、②をスルーして①に行くと、①と②が余計に喧嘩する、ということもあったりはする。
では、いってみよう。
息を鍛える
最初に書いたように、Nさんはまだ「歌うぞ!」というテンションが作れていなかった。
なので、「テンション作り」ってウチでは言ったりするけど、しっかりとした呼気を作ってやることが大事。
声帯というのは、「ベルヌーイの定理」と言って、二枚の声帯の間を強い空気が通るほど、激しく振動する仕組みになっている。
(ベルヌーイの定理については下記リンクをどーぞ)
まあ、鍛える、というより、使い方を知る、という感じかな。
ポカンと口を開けて(開けすぎないことがポイント)、「ハッ!」と息を吐く。
コツは、できるだけ短く。「ハァッ!」と「ァ」が出てくると、その時に声帯を固めようとしてしまうので。
どうしても「ァ」が出てくる時は息だけで「h!」「h!」とやって、その感覚のまま、「声が漏れてしまう」くらいのイメージで「ハッ!」と言う。
大事なのは息の「量」ではなく「スピード」
実はこれで舌が上がるのが改善されたりすることもある。
というのも、体はどこかの力が足りないと、必ずどこかが補おうとするので、息のテンションが弱いと声帯が上手く振動せず、「鳴らさないと!」と喉、首、舌に力が入る。
Nさんもこれだけで高音域で声が掠れる(ようは、舌~声帯が硬くなって、上手く振動しなくなっている状態)のが少し改善されたかな。
ベルヌーイの定理やら、声帯振動の原理について解説した記事はコチラ
声帯を鍛える
これも鍛えるというよりは「慣れ」
方法は2種類。
一つは「ン!」という発音。
これは、例えば重たいものを持ち上げるときに「ンッ!」って踏ん張るよね?その時に声帯がピトッと合わさって体に空気がたまって力を入れることができる。
それを使ってやって、「声帯を閉じる」と意識すると硬くなるので、「軽く息を止める」という練習。
この「軽く」が重要。よく「電子レンジ持ち上げるくらい」と言ったりする。冷蔵庫や洗濯機だと、重すぎて力みが生じるかもね。
当然、息を止めるというのは、体の中にある空気に「圧」がかかるので、「空気圧」「声帯を合わせる」というクセをつけていく。
もう一つは「バッ!」という発音。これもリンクの別記事参照だけど、
無声子音(ハ、カ、サ、など)…先に息が出てから声帯がくっつきにいく発音
有声子音(バ、ガ、マ、ナ、など)…先に声帯がくっついてから息が出て行く発音
という違いがある。なので「バッ!」というと声帯がしっかり合わさろうとする。
特に高音部分に行くと、声帯が合わさる面積が薄くなろうとする(これがファルセットになる原因。ヘッドボイスとはまた違う。ヘッドボイスでも声帯は…リンクの記事参照)ので、これを我慢してしっかりと「バッ!」という発音を作る。当然、強い破裂の音でもあるので、域のテンションも作れる。
短期間で結構強く鳴らせるようになったね。
ヘッドボイスとファルセットの違いなど、マニアックな音響学の記事はコチラ
そして歌う曲が決定…だが…
そうこうしているウチに、歌う曲が決まったらしいけど…
なんと男性曲!
めっちゃ高音頑張ってきたのに…
でも、意外と高音発声が安定してくると低音発声にもいい影響を及ぼしたりするので、そんなに焦らない笑
なので、少し練習内容を追加
低音発声に必要なポイントは…
音程を変える(上げる)要因っていうのはいくつかあって、
①固さ(力み、というのではなく。木琴より鉄琴の方が甲高い音鳴るよね?)
②テンション(張り具合というかギターの弦とかみたいな)
③振動回数(張り具合とも関連するところではあるけど、強く弾くと激しく振動する)
まあ、ほかにもあるけど。
なので、高音発声には息のテンションというのが必要になるけど、低音ではその逆をイメージする。
「モワッ…」と吐く感じ。
①の声帯の筋肉(甲状披裂筋)、靭帯にテンションがかかりすぎると、鳴らしにくくなって、潰れたような声になったりする。なのでいかに力を抜いて柔らかく息を吐くか。
ここで少し改善ポイントも必要になる
次に重要になってくるのが「共鳴腔」
声帯が振動した音というのは「喉頭原音」と言って、物凄い小さい音(ハエの羽の音くらい)。それを増幅させるのがこの共鳴腔。
主に…
①低音域を増幅…声帯から舌の付け根あたりまで=咽頭
②中~高音域…下の付け根から口の先まで=口腔
③さらに高音域…軟口蓋(上あごの奥)から鼻腔の入り口(喉から見て)あたりまで=アデノイド
※鼻腔は意識しすぎると息漏れの声になる原因にも
なので、Nさんの特徴でもあった「舌が上がっている」状態というのは、低音を響かせにくくなる。
急遽男性曲を歌うことになったので、ここはできる限りやっておこう。
で、やっていった練習法
ここでは少しこれまでと間逆なイメージが必要。
鋭い息で強く声帯を鳴らす、と高音をやってきたけど、今度は声帯を緩めて柔らかく吐く、というイメージ。
まあ、これも長期的に見るともう少し細かくはなっていくけど、取り急ぎ、という感じの練習法
コツは「声を出そうとしない」
声!と思うと声帯に力みが出てきたりするので、とにかく息を吐いて「ただの音」という感じ。
少しあくびを我慢するような感じ(この練習に限り。よく「喉を下げて」という練習法があるけど、なんでもかんでも下げるのが正解ではないので)で、なんとなく自分の首が太くなったようなイメージをする。
この“イメージ”は結構大事。
で、ぶっとい首に、ぶっとい息を「モハッ…」と吐く感じで「ホッ」と発音。ただの音、声にしない。
実はこれは実際にレッスンで直接見てみないと分からない部分。
というのも、「オ」の母音は喉を下げようという動きはするけど、舌が奥に引っ込むリスクもある発音。なので、「オ」にした途端に逆に窮屈な音になる人もいる。
Nさんは「オ」で上手く言ったのでそのまま続行。
ここまでで、息のテンションというのもしっかり作れていたので、自然と対応できた感じ。
実は高音にも活きてきた
割かし間逆な性質の練習をやったけど、意外とどちらにも相乗効果を生んだ感じ。
ただ、これはNさんが頭がいいというか、勘がいいから、という部分に助けられた感はある。
中には迷ってしまう人もいるので。
低音でしっかり太く吐けた→高音にも厚みが出た
高音で鋭く鳴らせた→それだけ余分な力を使わなくなったので、低音発声にもスムーズに入れた
という感じ。
何より一番変わったのは…
Nさんの「歌心」。
最初来た時には、「どうやって声を出したらいいか分からない」という状態だったんじゃないかな?
それが、今まで知らなかった自分の本来の声を発見できたことによって「こう歌いたい」っていう“色”が出てきた感じ。
「歌なんて…」って思ってた(と勝手に予想している)Nさん、歌うことが楽しくなってきたんじゃないかな?
だとしたら、ほんまに先生冥利に尽きるというか、「歌が上手くなった」という“事実”よりも「そのおかげで歌がもっと好きになった」という“感情”を大切にしてほしいので。
そしてNさん、リズム感がやたらいい。陸上やってたからかな?(これ言っていいのかな?まずかったら言って。カットします…)
最近、黒人が陸上競技に長けているのは、ブラックミュージックの「ノリ」の影響、見たいな本を読んでるねんけど、関係あるのかも…
なんせ、これで今月のステージ?というのか、歌う機会、はバッチリ!
次はさらに難易度上げた曲を練習していきたいね!
クリアボイスミュージックスクール
谷本 恒治
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