2019.11.21trainer's column
【ボイトレ】ジウコがレッスンで気を付けていること
こんにちは。
大阪梅田のボイトレ・ボーカルスクール、クリアボイスミュージックスクールの谷本恒治ことジウコトモニタです。
今回は、ジウコ流「レッスンの進め方」メソッド。「レッスンメソッド」ではありませぬ。
コレはもう、焼き鳥屋さんの頑固オヤジが、秘伝のタレを作るところをイチから見せるようなもんです。
ネットの情報だけでは分かりにくい、「ボイトレの先生ってどんな人だろう?」「怖い人だったらどうしよう?」的な不安や疑問が解消されれば幸いでふ。
目次
- ○ ボイトレの先生をやるにあたって
- ・ジウコはあり得へんくらいに歌が下手だった
- ・ジウコがギターコースを辞めたワケ
- ○ ジウコがレッスンで気を付けること
- ・人を見る
- ・最終的には“瞬間”を大切にする
- ○ 環境を作る
- ・自主練を促す
- ・雰囲気を作る
- ・何よりも“愛”
- ○ エピローグ
ボイトレの先生をやるにあたって
ジウコが三流なりにも(誰がやねん!)ボイトレの先生としてやれている理由を、自分なりに分析してみようと思うでふ。
多分、経歴も方法論も特殊だと思うでふ。
ジウコはあり得へんくらいに歌が下手だった
「僕(私)、音痴なんです…」
こういう人で、実際に音痴だった人を見た事ない。アイハブネバースィーン。
なぜなら、「音痴だと思う=音程を外していることが分かる=音感がある」ということだからでふ。
音程を外す理由はここでは省略して、本当の音痴とは、昔の僕のような人のことを言う。
僕は自分でめっちゃ上手いと思っていた。
ところがカラオケで、僕が歌うとさっきまで大盛り上がりだった友達が静まり返り、苦笑いをしている。何故かやたら気を遣われる。
その友達のリアクションを見て
「あれ?俺ってヘタなんかな…」
と薄々気づきだす。
その数年後、バンドで何を思ったかボーカルをやり出す。
スタジオに見学に来た先輩が、一曲聞き終わって一言。
「…、ボイトレ行ったら?」
そこで高校時代薄々感じていた思いに確信を抱く。
あぁ、やっぱ俺、音痴なんだ…、と。
ジウコがギターコースを辞めたワケ
そこからボイストレーニングを受け始めたジウコ青年は、最初はもうひたすらピッチ練習。
発声についてなんか、一言も教えてもらっていない。
ただただ、ピッチ練習。まあ半年はやったかな…それも週2で。もちろん、自分でも家でひたすらピッチ練習。
(残念ながら今でもピッチは悪いが…)
その後の過程はさておいて、なんせ、めちゃくちゃ苦労した。
この「めちゃくちゃ苦労した」ことが、僕がボイストレーナーとしてやっていける最大の理由だと思っている。
多分、僕が元々天才的に上手かったら人に教えられない。
僕は元々ギタリストになりたかった人。で、これまたその後の過程はさておき、「ではギターコースもやろう」となった。
ところがどっこい、上手く教えられない。
ようは、若かりし頃のギターの苦労がなかったのね。覚えてないだけかも分からんけど、割とすんなり弾けた記憶。
自分が苦労してないので、生徒さんが何に苦労しているのかが分からなかったのでふ。
「何故できない」が分からなければ、「どう改善する」も当然分からない。
開講前は「こんな練習をして、次はこれをやって…」と一年くらい先までのレッスンフォーマットやら譜面やらを山ほど用意したワケ。
それに莫大な時間も費やした。
けど、結局「机上の空論」だったのね。「これが出来たら次は…」の「出来なかった場合」を想定してなかった。
なので数か月であっさり閉講。
これは人生において大きな失敗であり、同時に大きな経験値となったでふ。
「苦労してない人間が、他人の気持ちに寄り添えるワケがない」
こんなことやってたんやけどね。
今でも時々ギター動画あげてるでふ。よかったらいいね、フォローしてねん。
ジウコがレッスンで気を付けること
さて、そんなジウコのレッスンの進め方、レッスンの取り組み方について。
どれだけの人が興味あるんか分からないけど、ボイトレの先生ってのがどんな気持ちや考えて生徒さん一人一人と向き合っているのかを知ってほしいと思って書いてみますでふ。
人を見る
これは「人の顔色を伺う」とか「人によって態度を変える」といった類のものではない。
むしろ僕は老若男女誰に対しても自分の態度を変えることはない。
ここでのニュアンスは、「どういう伝え方にリアクションしやすいか」「どういう場面で喜びを感じられるか」といった、生徒さんの「個性」の部分。
どんな人にも「性格」や「特徴」はある。
そしてそこには優劣や是非はない。
それぞれにとっての重要な「持ち味」であると思っている。
なので、その「持ち味」をどうやって活かすか、もっと言えば、生徒さん自身が気づいていない「自分の持ち味」にどうやって気づかせてあげるかが、レッスンで一番重要な部分だと思っている。
なので、以前Iさんという生徒さんがアンケートで「レッスンのカリキュラムが難しすぎず簡単過ぎず」と書いてくださったのはそういった部分。
つまり、「それだけレッスンメソッドが構築されている」ということではなく、「それだけ一人一人を見ている」ということだと自負しているでふ。
童画はそんな個別カリキュラムのほんの一部。実際のレッスンはもっと細かいでふ。
最終的には“瞬間”を大切にする
そうした「持ち味」と「現状」を踏まえて、ジウコは案外緻密(?)に次回のレッスンプランを事前に立てる。
「今日はこうだったから、次はこんな練習を入れてみよう」みたいな。
が、あくまでもプランを立てるのは「ベース」の部分。
さらにもう一つ重要なのは、その「持ち味」、つまり性格や特徴は、シンプルなものではないということ。
例えば性格。
「○○君の性格は?」(身近な人を思い浮かべて欲しい)…
きっと一言では言い表せないと思う。
Aな部分もあればBの部分もある。
BなクセにCな所もあって…みたいな感じじゃないかな。
特徴も同じ。
こんな所もあんな所もある。
なので、事前に考えた「ベース」は、前日までの自分の「参考意見」程度に捉え、あとは実際に当日の“瞬間”の声を聞いた判断でレッスンを進めていく。
それは「性格」や「特徴」の、どの部分が表れるか、日によって違うから。
(もちろん、その子の性格や特徴が急に変わる、穏やかな子が今日来たら突然キレキャラになっている、ということはないので、ほぼ「参考意見」に沿ったレッスンではある)
単純にコンディションの問題もあるし、「なんとなくいつもより元気がない」ということもある。
その日の声を聞いて、「ああ、そんな状態ならこのエクササイズも混ぜてみよう」とその場で臨機応変に考える。
これも「人を見る」ということを重視した僕ならではの強みだと思っている。
環境を作る
そしてここはクリアボイスの最大の強み。なハズ…
それは“環境”。もちろん、生徒さんが望むもの、レッスン、環境を提供する仕事なので、「こうしてください」ということはないのでご安心を。
ただ、できれば積極的にこの“環境”すらも利用してもらえれば、より充実した音楽ライフを送っていただけると思っている。
自主練を促す
色んな所で書いているが、ウチの理念。
「歌が上手くなったら生徒さんの実力、歌が上手くならなかったらトレーナーの実力不足」
である。
つまり、歌が上手くなるのは僕らの実力ではない。生徒さんの努力の賜物だ。
では努力とは?そう、
自主練。
いくら超一流シンガーでも、一か月のうちに4時間しか練習しなければ歌は上手くならない。
つまり、週一でレッスンに来た時だけ声を出していても、変化はあるものの目覚ましい結果は生まれないと思う。
で、自主練において意外に見落としがちなポイントは、
- どんな練習をするか
- どんな練習を「しないか」
レッスンでは、「意識」や「体の反応」を大事にする。
が、自主練では自分が気づきにくい「潜在意識」が顔を出す。これが練習をよろしくない方向に進めることもある。
なので、レッスンでこれらを明確にする。
「これだけやっておき、ここは今のところ気にせんとき」
という具合だ。
そして肝心なのは、これを生徒さんが実際にやるかどうか。
仮にやらなかったとすれば、それは僕らの責任だ。
「それをやっても上手くなる実感が持てなかったから」やらなかったワケだから。
つまりこういうこと。
レッスンで大事なのは、トレーナーが生徒一人一人の目標・目的を明確にし共有すること。
その目標に確実に近づいているという実感を持たせ、「頑張ったら上手くなるんだ」というモチベーションを維持させること。
「100M走れ!」と言われればダッシュするだろう。
「42.195KM走れ!」と言われればとぼとぼ走るだろう。
けど、ただ「走れ!」と言われれば、どれくらいのペースで走ればいいのか、いつまで走ればいいのか分からない。
自主練をするしないは、僕らの伝え方の問題だと思っている。
雰囲気を作る
そしてここが大きな特徴。
雰囲気を作る。
一般的に、「先生」というのは尊厳のある人。ましてや、自分の知らない専門知識やスキルがある人。
そんな人に自分の意思を躊躇なく発言できる人、どれくらいいまっか?という話。
少なくとも僕は言えなかった。
「分かったやろ?」と言われれば、「いや、分かんないっす…」とはなかなか言えない。
(分からない僕が悪いんだ…)
なんて思ってしまうんじゃあなかろうか。
だから普段からよく生徒さんと接するようにしている。
生徒さんと釣りに行く。釣った魚を捌いて昼飯を作る。
生徒さんと花火をする。酒のアテを作って持っていく。
生徒さんと奈良公園に遠足に行く。お弁当を朝5時に起きて作っていく。
生徒さんと花見をする。早朝から食材、酒を買い出しに奔走する。
生徒さんと王子動物園に行く。一緒に観覧車に乗る。
生徒さんと飲み会をする。先頭に立って3次会まで行く。
こうして「普段よく一緒に遊ぶお兄ちゃんに歌を教えてもらう」という感覚になってもらえるよう努めている。
そしてレッスン中でもできるだけ、「こう思ったやろ?」という聞き方ではなくて、「今どう感じた?」と聞くことで、「自分の感覚を自分の言葉で言語化させる」ということを意識している。
自分で言葉にできる、ということは、それだけ自分の体や頭で理解している、ということだ。
なのでそう質問して「んー…どうだろう…」となったら、「じゃあ、そこ気にしてもっかい今のんやってみよっか」とやったりする。
こうして、「トレーナーのメソッドを一方的に押し付けられる」レッスンではなく、「自分の考えや理想をトレーナーに理解してもらって一緒に歩んでいく」レッスンを心がけている。
その"雰囲気作り"の部分はインスタのストーリーで上げてるので見てねん。よかったらフォローしてねん。
何よりも“愛”
やっぱり最終的にはこれに尽きると思っている。
「生徒のために」という気持ち。
気持ちで仕事が成り立つワケではないけど、どんだけクオリティの高い仕事ができても、そこに気持ちがなければ人には伝わらないとも思っている。
常日頃から
「○○ちゃんにどんなレッスンしたらいいだろう…」
とか、
「△△君、こないだ元気なさそうだったな…」
とか、四六時中考え抜くことが、最終的には生徒一人一人に寄り添えるレッスンができる唯一の道だと思うでふ。
僕は月に2日だけ休みをもらっている。が、それは体を休めるだけであって、自分がボイストレーナーであることは一瞬たりとも忘れない。
だって、僕が休んでいる時間に、一生懸命自主練している子はいるのだから。
逆の立場だったら、自分があーでもない、こーでもないって試行錯誤している瞬間に、先生は自分のことなんか気にも留めていないと思ったらちょっとゲンナリする。
それくらい全員に分け隔てなく真摯に向き合ってナンボというか、僕みたいな三流は(誰がやねん!)それくらいでちょうどいいと思っている。
エピローグ
熱い思いを書くのはこっ恥ずかしいけど、みんなもこっ恥ずかしい感情を堪えて歌を練習しに来ているワケだからね。
いつも正直であること。いつも全力であること。いつも「人様の声を預かっている」という責任を持つこと。
三流にできる精一杯でふ。
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