2021.05.02ミックスボイストレーニング
地声と裏声が切り替わってしまう人へ|ミックスボイスへの近道
地声と裏声が切り替わってしまう…
それ、一番ミックスボイスに近いですから。
大阪梅田のボイトレスクール、クリアボイスミュージックスクールのボイストレーナー兼代表、ジウコトモニタです。
↓今回のテーマ↓
地声と裏声が切り替わってしまう時の練習法
冒頭にも書きましたが、切り替わってしまうのは実はいいことです。
ですが大抵の人は切り替わらないように、そして残念なことにほとんどのボイストレーナーさんが切り替わらないように指導してしまうます。
これは大変危険な練習方法です。
せっかくミックスボイスに近いところにいるのに、わざわざ遠くへ行こうとしているどころか、声帯を傷めたり、酷い時には発声障害を引き起こす危険もあります。
「えっ?切り替わらないように練習してたよ…」というアナタ、今すぐその練習をストップしてください。
「偉そうに、お前誰やねん!」という方もいらっしゃると思うので、簡単に自己紹介しておきます。
ジウコトモニタ
ボイストレーニング歴15年、クリアボイス創業10年弱
これまでメジャーアーティストやTVタレント、芸人、アナウンサー、ラジオパーソナリティなど、声を使う仕事で活躍される方のボイストレーニングを数多く担当
その中で培ってきたノウハウで「僕にしかできないレッスンスタイル」を武器にクリアボイスミュージックスクールを立ち上げ、大阪で不動の人気を誇るスクールとなる
最近ではボイストレーナーの育成にも力を入れている
という感じで、ボイトレで失敗したくない人、あるいはすでに一度失敗している人は是非こちらの他のブログをお読みください。
それでは進めていきましょう。
まず、今回のポイントをまとめておきます。
Point
1.ミックスボイスとは何か?
2.なぜ地声と裏声が切り替わってしまうのか?
3.なぜ切り替わらない練習をしてはいけないのか?
4.一番手っ取り早い練習方法
「え?なんだ、めちゃくちゃ簡単なことだったんだ…!」と思っていただけると思うので是非最後までお読みください。
1.ミックスボイスとは何か?
他の記事でも幾度となく書いていますが、改めてざっくりと…
甲状披裂筋(内側が声帯の筋肉)=TA…収縮することで短くなり、声帯に張りと厚みを作る
輪状甲状筋=以下CT…収縮することで声帯を間接的に引っ張り、薄く伸ばす(音程を上げる)
つまり、TA側(声帯が短くなろうとする)とCT側(声帯を伸ばそうとする)とで綱引きをするような状態です。
この二つの筋肉が拮抗バランスを保っている状態がミックスボイスです。
よく「高音を地声っぽく出すのがミックスボイス」と勘違いしている人が多い(いまだにいるんです…)ですが、ミックスボイスは筋肉の状態(結果、ある程度高音まで裏声っぽくなく出せるようにはなりますが)であって、声のトーンはその上の空間によっても変わるし個人差もあります。
2.なぜ地声と裏声が切り替わってしまうのか?
正確に言うと地声と裏声は切り替わっています。これは後程。
低音域ではTAが優勢(これは結構便宜上なニュアンスです) になり、音程を上げていくにつれてCTが声帯を引っ張っていきます。
本来はCTの引っ張り具合によってTAは徐々にCT側に身を委ねていかないといけない訳です。
そして気づけばCTが優勢になっている=裏声になっている。
この二つの筋肉バランスが上手く取れない、つまり、例えばCTの引っ張り具合に対してTAが「そうはさせるか」と頑張ってしまっていたり、逆にCTがまだそんなに引っ張っていない段階でTAが「もうダメだ…」と諦めてしまったり、ということが起こるのでパキッと切り替わってしまうのです。
3.なぜ切り替わらない練習をしてはいけないのか?
地声と裏声が切り替わる原因は分かりました。
では、切り替わらないように練習すべきでは??
そこが大きな落とし穴です。
これまで「切り替わらないように」練習してきたアナタ、
蚊の泣くような裏声で低音を出していたり、逆に無理矢理声帯をくっつけたまま高音に上がろうとしたりしていませんでしたか?
先ほどのチャプターで書きました、「地声と裏声は切り替わっています」。
なぜなら地声から自然に裏声に繋がった状態をミックスボイスというからです。
つまり、地声と裏声が存在しているのです。
この「そもそも論」をすっ飛ばして「高音を強く出すのがミックスだ」と、ボイストレーナーさんまでもが無茶苦茶な理論でトレーニングを進めてしまうことが多いんです。
ミックスボイスの練習は「切り替わらないようにする」のではなく、「切り替わるポイントを分からなくする」のが正しい方法です。
4.具体的な練習法
改めて初めのテーマに戻りまして。
「地声と裏声が切り替わってしまうんです…」というアナタ。
それは第一ステップをクリアしている、ということです。
バランスが上手く取れていないだけで、切り替えられているのですから。
あとはその境界線を“ぼやかして”いくだけです。
まずは自分が“どの高さで”切り替わってしまうかをしっかり把握しましょう。
切り替わるポイントが分かればそこの行き来だけをひたすら繰り返します。
繰り返しながら、その境界線をゆっくりとまたぐようにしてみます。
ゆっくりまたぎながら、(声が小さくなってもいいので)切り替えるのをゆっくり切り替えるようにしてみます。
それを徐々に“ぼやかして”いくだけです。
やってみると案外簡単ではないでしょうか?
間違っても切り替わらないようにという練習はやめておきましょう。
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