2020.08.03腹式呼吸トレーニング
やっぱりなくならない“腹式呼吸”の幻想

「お腹の力が使えないんです…」
「(エクササイズを終えて)この時、お腹はどうしたらいいんですか…?」
その度に毎回答えます。
「走るのに足の力を意識していますか?」
大阪は梅田のボイトレスクール、クリアボイスミュージックスクールのボイストレーナー、谷本恒治ことジウコトモニタです。
さて、しつこく、
アナタは“何式脚力”で走っているのでしょうか?
まず、以下を否定して申し訳ございません。
○○さんのような声は腹式呼吸で作られています
○○さんのような声は胸式呼吸で作られています
みんな、騙されるな!
喉頭で鳴った原音は、その上の声道の形によって共鳴の仕方が変わり、母音の違いが生まれます。
声道で共鳴したエネルギーが声帯の方へ返っていくことで、声帯振動の力を促進しています。
つまり、声のトーン(音色)は、声道の形とその反響(共鳴)の仕方によって変わり、声帯振動そのものは全て同じです。
言い換えると、声の変化は全て“声帯から上”で行われることで、声帯の下からどのような空気が当たるかは一切関係ありません(空気のスピードによって振動の強弱は変わりますが、トーンが変わる訳ではありません)。
ましてや、その空気が、何式呼吸の空気かは関係ありません。同じ空気です。
もう一つよくある勘違い。
「胸式呼吸だと喉を締めてしまい…」
喉が締まるのも“何式呼吸”かは関係ありません。
そもそも、常々言いますが…
人は日常の自然呼吸の段階から、80%腹式、20%胸式で呼吸をしています。
では、何故呼吸と喉締めが繫がるのか。
それは、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という、“呼吸補助筋”を使うためです。
一度、鏡を見ながらしゃっくりをするような感じで一気に息を吸いこんでみてください。
鎖骨のすぐ上らへんがへこんだと思います。
これが胸鎖乳突筋。
先に書いたように呼吸を“補助”する筋肉なんで、腹式だろうが胸式だろうが、使う時は使います。何式呼吸かは関係ありません。
この胸鎖乳突筋に力が入ったまま発声の状態に入ると、いわゆる“喉締め”になる可能性があります。
さて、「腹式呼吸で声を出すとこのような声になります」的なトンデモ論は稀として、それでもまだまだ「歌=腹式呼吸」と洗脳されている人が多いのも事実。
過去にも腹式呼吸の記事はいくつか書いているので、解説はそちらに任せまして…
ここでは、腹式呼吸の3ステップ!とシンプルにまとめておきましょう。
2.わき腹、背中で体が萎まないようにキープ
3.キープしたままたくさん使わないようにする
くれぐれも“たくさん吸ってたくさん吐く”にならないように。
ちなみに、“喉締め”が起きる原因には、多少呼吸が影響することもあります。
(もちろん、何呼吸かは関係なく)空気の圧力が足りないと声帯がしっかりと振動しないため、“鳴らそう”という意識が強くなり、声帯を強く閉じようとしてしまいます。
声帯振動にはベルヌーイの定理というものが関係しています。
ベルヌーイの定理はこちらを参照。
簡単に言うと(量ではなく)シャープな空気が声門の間を通り抜けることで、しっかりと振動する仕組みです。
そして、この原理を利用して発声するのに、何も特殊な呼吸法を身に付ける必要もありません。
何故ならこの原理を利用して、今アナタは言葉を話しているのだから。
言葉を話す時に“何式呼吸”かを気にしていますか?
(気にしていなくても腹式呼吸になっていますが)
呼吸を意識しないと話せませんか?
当然、歌を歌う時は、日常会話より高いキーが出てきたり、会話の平均のブレス回数よりも間隔が短くなったり、長いフレーズを歌わないといけなかったりします。
なので、日常会話よりもう少ししっかりと息を吸うことを意識すればいいだけです。
僕が「世の中の腹式呼吸は間違っている」と提唱(ごくごく小さな世界ですが)し始めて10年ほど経ちます。
さすがに今では、「まだ“腹式呼吸”って言ってんの?」というボイストレーナーさんが圧倒的に多いです(多分)。
それでもまだ、「胸式呼吸は喉を締めます」というトンデモ論が存在してしまいます。
2.音色が変わるのはその上の声道の形によります。
3.そもそもヒト科は80%腹式(横隔膜の収縮)、20%胸式(外肋間筋の収縮)で呼吸しています。
4.声を出すのに息の量は必要ありません。強さ(スピード)です。
アナタがもし、「ボイトレしてもちっとも上手くならない」とお悩みだとしたら、もしかすると無意味な“腹式呼吸の幻想”に捉われているからかも知れません。
(そしてそういった場合、「なかなか上手く声が出せない…腹式がまだ上手くできないからだ…」と、全く逆の道へ進んでしまって取り返しのつかないことになることもあります)
ただ、「歩くためには足の力が必要です」と言っているのと同じだ、ということです。元々使っているのに、わざわざ過度に意識するから不自然な発声になるのです。
です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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また、YouTube、Twitterでも歌い方、発声の解説やってますんで、是非そちらも覗いてみてくださいね。
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