2021.02.02trainer's column
ボイストレーナーが心掛けるボイストレーニングの本質|ボイトレで失敗しないために
ボイトレに通っても全然何の変化もなかった
こんな声をよく聞きます。
実際に、ウチのスクールに来られる方で、以前別のボイトレスクールに通われていた生徒さんのほとんどがこのパターンです。
果たして、ボイトレに通っても上手くならないんでしょうか?そして、それは何故なんでしょうか?
大阪梅田のボイトレスクール、クリアボイスミュージックスクールのボイストレーナー兼代表、ジウコトモニタです。
ここでは、長年のキャリアの中で、メジャーアーティスト、TVタレント、声優、ラジオパーソナリティー、といった、声を使う仕事をされる方々のボイストレーニングを数多く経験してきた中で培ってきたノウハウを元に、正しいボイトレの方法、ボイトレで失敗しないために気を付けることなどをご紹介しています。
では改めて、なぜ「ボイトレスクールに通っても上手くならない」といったことが起こるのでしょう?
それは、ボイストレーナーが、生徒さんを上手くする方法を知らないからです。
世の中には、「受け売りの知識でYouTubeやったらバズッてしまったのでボイストレーナーを始めてみた」「歌が上手いからボイストレーナーやって、と言われて始めた」といった方が溢れかえっています。
これは、「料理は作ったことないけど、本屋で見つけたレシピ本を見ながら、まんま教えている料理教室」、あるいは、「引っ越し屋でバイトして筋力ついたのでウエイトリフティングのコーチを始めた」というのと変わりません。
そして、そこに通う生徒さんは、有名なレシピ本のレシピを教わる訳だから疑いもしない、引っ越し屋のアルバイトの青年が筋骨隆々なので疑いもしない訳です。
実際にただ歌が上手いというだけで採用されたボイストレーナーに、机上の空論で作ったマニュアルを渡すだけでなんの研修もしないボイトレスクールもたくさんあります。
では、何を基準にボイトレスクールを選べばいいでしょう?
それは、「あなたの声にきちんと耳を傾けているか」、「具体的に現状と改善策を提示できるか」です。
僕がボイストレーニングで大切にしているのはこういった部分です。
ボイストレーニングで大切なこと
・生徒さんがどんな風に歌いたいのか
・どこを残してどこを改善するのか
・何から始めるのが最短ルートなのか
初めの「どんな風に歌いたいのか」というのは、生徒さん自身も無意識なことが多いです。「どんな風に歌いたい?」と、ナンセンスな質問をしても、「えと、いや、上手く歌えたら…」となるでしょう。
でも、必ず無意識に何かに影響を受け、何かをイメージし、歌っています。
それは、「発声の癖」となって必ず表れます。
それが次の「どこを残してどこを改善するか」というところです。
例えば、高い声を出そうとして喉が上がる。
こういった人に、「喉が上がるのはよくない→喉を下げる練習をしよう」とトレーニングを続けたとします。
本人は無意識に「そうしないと出ない」と思って喉が上がっているので、喉を下げるトレーニングに体が反応しないか、素直に受け入れたとしてもそのことで高い声が出しにくくなって成果を感じられないか、のどちらかです。
(一概には言えません。発声は必ず一人一人違いますから。もちろん、喉を下げるトレーニングから始める場合もあります。滅多にありませんが。この一人一人に対する判断は、少なくとも大阪では僕にしか出来ないという自負があります)
そこで最後の「何から始めるのが最短ルートなのか」というところに繋がります。
上記の例で言うと、大抵の人はめちゃくちゃ時間がかかります。だって、喉を上げたいと無意識に抗ってしまう訳ですから。
するとどうなるでしょう?
「ボイトレスクールに通っても上手くならなかった」
となります。
なので、どこから手をつければ手っ取り早く成果を感じられるか、そのためにその上の「どこを残すか」も考えます。
そこには、「癖はあるけどそこまで深刻ではない」、あるいは「この癖を利用した方がここを改善しやすい」といった判断が必要になります。
これは本屋に売っている人気のレシピ本にも書いていなければ、筋骨隆々の引っ越し屋のアルバイトにも分かりません。
きちんと自分自身がボイストレーニングを受けてきて改善されてきた実体験がある、ボイストレーナーになるための研修をきちんと経ている、そして実際のレッスンを経験しながら自分の中に成功体験、失敗体験を培っていき、応用力を身に付けていく、といったことが必要になります。
そしてさらに僕が大事にしていることがあります。
それだけキャリアを重ねてきても、初めての生徒さんに相対した時には、過去の自分のデータに当てはめようとせず、フラットな状態で向き合うことです。
先程も書きましたが、発声の癖は一人一人必ず違います。実際に長いことやっていますが、一人として同じ練習を同じ順番で同じ説明の仕方をしたことがありません。
声も違えば性格も違います。体格も性別も違います。
そな時々で臨機応変に対応できるのも、これまで一人一人と真剣に向き合ってきたからだと思っています。
これからボイトレスクールを探そうと考えていらっしゃる方。
判断基準は、ボイストレーニングメソッドよりも、トレーナーが自分を見てくれているか、というところを重視しても良いかも知れませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
是非他の記事もご覧ください。
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