2019.08.13trainer's column
【間違いだらけのボイトレ】顎を引いても上手く歌えなかったでしょ?
こんにちは。
大阪梅田のボイトレ・ボーカルスクール、クリアボイスミュージックスクールの谷本恒治ことジウコトモニタです。
しかし未だに根強い人気だね。
「お腹から声を出して!」
「口を大きく開けて!」
「顎を引いて!」
はっきり言います。
ボイストレーナーを始めて10数年、これを実践して上手く歌えている人を一人も見たことがありません!
“一人も”です!
「俺(私)、歌えてるよ」
という方、いると思います。
その人はそうじゃなくても歌えてます!(むしろ、それをしない方がさらに歌えます)
断言します!
医学が進歩するにつれて、体の仕組み、構造はどんどん解明されています。
当然、「あ、こういう作りなら、こうやって声を出した方が良かったんだね」と、これまでの発声理論が覆されることも多々あります。
タミフルの副作用が研究されるようなものです。
しかしながら、いまだに過去の幻想理論(あるいは想像理論)にしがみついている人も多くみられます。
実際に、体験レッスンに来られて、やたらめったら口を大きく開けて息がどんどん漏れている方、お腹をベッコンベッコン動かして弱々しい声で歌われる方、顎を引いて窮屈そうに歌われる方、結構いらっしゃいますが(答えを書いてしまった…)、「そうじゃないよ」と指摘をしても、
「は?何言ってんのコイツ、お腹から声を出さないといけないに決まってんじゃん」
的な顔をされます。
理論を信じる、信じない、ではなく、その結果自分がどんな声を出しているかを意識してほしいんですが…
で、なぜか最後に書いた「顎を引いて!」から。
なぜ顎を引くと歌えないのか。
先ほど書きましたが…
①喉頭が窮屈になるから
②首に入った力は解決していないから
です。
では、なぜ「顎を引いて!」が蔓延したのか?
(実はきちんと調べると、最近のほとんどのボイストレーナーさんが「顎を引く、は間違っているよ」と書いてたりするので、実は割かし「今さら言われなくても」論なのですが…前述のように幻想論がまだ根強いのも事実。。)
それは、顎を上に突き出すのではなく、顎を前に突き出した状態が良くないからです。
特に我々アジア人は猫背です。
背中が丸くなると、首が前に出ます。同時に顎が(上ではなく)前に出ます。
こんな状態。
この状態は、背骨よりも頭が前に出ているので、首の筋肉で頭を支えている状態です。
整体師さんに聞いたのですが、頭の重さはボーリングの玉ほどあるそうです。
「肘をたたんで、肘の真上に玉が来るように持ったら重たくないでしょ?でも肘を前に出したら、玉を持つのにめちゃめちゃ力がいるでしょ?首が前に出ているというのはそういう状態です」
とおっしゃっていました。
分かりやす過ぎ!
で、この首の筋肉というのが色々あって(首、喉の周りの筋肉がいかに発声を妨げるかコチラをクリック)、なんせ厄介。
で、そんな厄介な発声の状態で一般的なイメージの「顎を引く」を使うとこうなります。
The・二重顎。
見るからに歌いにくそうでしょ?
ええ、歌いにくいどころか、歌えません。
茎突咽頭筋や茎突舌骨筋なんかが喉頭を後ろに引っ張ってしまっている状態で、さらに追い打ちをかけるように顎で喉頭を後ろに押し込んでいる状態です。
先ほども書きましたが、これでも歌える人もいます。が、これをやめたらもっと歌えます。
では、どうすればいいのか。
首(顎)が前に出るのが、猫背が原因なのであれば、背筋をまっすぐにすればいいだけです。
ね?顎引けてるでしょ?
そう。
「顎を引く」というのは、顎を下に引くのではなく、後ろに引くんです。そしてそれは、背筋を伸ばすだけで十分です。
僕はレッスンでは「後頭部を引いて」という言い方をしたりしています。
ちなみに、この状態(首に力が入らない状態)で、顎を上げても(いわゆる「顎を(下に)引いて!」と逆の姿勢)問題なく発声できます。
※首に力が入らないように確認として、あえてこの姿勢で発声したりもします。ただし、もちろんやり過ぎ注意。
ようは、顎が上がっているか下がっているかが問題ではなく、首に力が入っていないか(イメージとしては背骨の上にストンと頭を乗っけている状態)が問題です。
顎がないんであまり参考にならない画像でスマセン。。
顎しかり、お腹しかり、何かをしようとすると、その「何か」に力を使うので、基本的にはno good。
自然と使うべき筋肉を「使ってしまう」状態に持っていく意識が大切です。
「お腹から声を出すようにしてるけど、なかなか上手くいかんなあ…まだ力が足りないのか…」
「顎を引いても歌いにくいなあ…まだ顎を引き足りないんだろうか…」←コレ、あんまりいないけど…
「口を開けても響かないなあ…お腹の力が足りないからか…」←コレ、お腹ベコンベコンを併発して超悪循環
そろそろ幻想論を見直してみませんか?
クリアボイスミュージックスクール
谷本 恒治
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